不妊治療をしている中で、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)で悩まれている患者様は本当に多いと思います。
悲しい事ですが、こんなことを言われたと言って受診される患者様がおられます。
「PCOSで卵子が悪くなる」「妊娠の可能性が低い」…
まずはじめに言っておきますが、これらは大きな間違いです!
私達と一緒に、PCOSの正しい知識を学んでいきましょう。
疾患を知る時はまずイメージが大事です。まずは簡単に理解し、細かくみていきます。
- ・月経が不順である。
- ・婦人科での超音波検査で「卵巣の袋が多い」と言われた。
- ・ホルモン検査で"異常"だと言われた。
- ・AMHの数値が「とても高い」と言われた。
長年使われていたPCOSの診断基準が2024年に改訂となりました。
改めてご自身の症状、検査結果を新基準に照らし合わせてみて下さい。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の診断基準は以下の3つです。
- 月経周期異常
- 多嚢胞性卵巣 または AMH高値
- アンドロゲン過剰症 または LH値高値
卵巣所見の補助診断としてAMHを使用できるようになった。
「エクルーシス」使用の場合(当院使用)
20-29歳:4.4g/mL
30-39歳:3.1ng/mL
「アクセス」及び「ルミパルス」使用の場合(ご自身の主治医にご確認ください)
20-29歳:4.0ng/mL
30-39歳:2.8ng/mL
注意
・AMH高値だけで診断できないこと。
・AMH測定は診断に必須でないこと。
・AMH高値は測定方法で値が異なります。
肥満例(BMI≧25)ではLH/FSH比高値のみでも可とする
今回の症例調査アンケート平均年齢は35.0歳で、肥満者(BMI≧25)の割合は15.9%であった。
国際基準で長年重視されてきた多毛を採用した
多毛のカットオフ値については、国内症例調査のデータから感度が約95%となるようにmodified Ferriman- Gallwey (mFG)スコアを6以上とした。 多毛については自己評価が有用とされています。
診断に用いる血中アンドロゲンは、測定系の信頼性、
国内の使用実績および健保適用の観点から総テストステロンに限定した
これを自分だけで理解するのは大変ですよね。わからないところ、不安なところは主治医にお話を聞かれてみてはいかがでしょうか。
もちろん当院ではPCOS治療開始前に徹底してご自身の体を説明し理解してから治療を始めます。